22/12/16(金)22:24:39 夕日... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
画像ファイル名:1671197079730.jpg 22/12/16(金)22:24:39 No.1004761743
夕日に染まった放課後のてろてろとした時間を、私達は満喫して居ました。 私と我が友、お嬢にシーナ嬢、そしてバリちゃん先輩。何時もの揃いも揃っての五人組。 二階建てのゆったりとしたドーナツ屋兼カフェーの窓際に皆揃って陣取って、ドーナツと飲み物、そして雑誌を広げるのです。 「今度のレース、どれに出るんですか?」 私は『Grau』と名付けられた芦毛のウマ娘専門のグラビア雑誌を眺めながら気軽に問い掛けました。 「わたくしは芝2000のレースへ。体の仕上がりを確かめに」 珈琲を静かに啜りながらお嬢はそう答えました。中長距離は私達のメインステージですからね 「私は新しい蹄鉄の具合を実戦で確かめてみるつもり。トレーナーと一緒にあれこれ悩んだからね」 「悩みの種だよなー蹄鉄。走りやすいと速く走れるじゃベクトルが違うしよ」
1 22/12/16(金)22:26:28 No.1004762531
そう言いながら我が友はラズベリーの甘酸っぱいソースの入った丸い揚げパンを食べて居ました。 「……んだよジャスタ」 「いえ、相変わらずドーナツの穴に虚無感を感じていらっしゃるのだなと」 「そりゃな。くりくりコネコネ可愛く丸めた生地にそぉい! って穴開けるんだぞ? 何個も何個も。毎日ドーナツの生地は星の数ほどの穴を開けられて、玉を作られて。アタシは頭の中が天の川銀河になっちまう」 「でーもー、シップちゃんはこの小さな玉のドーナツは好きだよねー?」 めそめそと泣く我が友のお口にころんっと一口ドーナツを転がしたのは我らがバリちゃん先輩でした。 「うん…コイツには何も罪は無えからな。罪が有るのはドーナツに穴を開けた人類だぜ!」 「相変わらずお言葉が支離滅裂な事で…シオン先輩はこの先のレース、何れに参加しますの?」 お嬢が王道のチョコレートドーナツを千切りながら食べると、バリちゃん先輩はえへへ…と笑うのです。
2 22/12/16(金)22:26:48 No.1004762712
「レースには出ないんだけどね。Cavallo Carrozzeriaから取り寄せた特注の蹄鉄と新しいブーツが来るの♡ 暫くはそれの調整かなー」 「イタリア製ですか! 凄いですね」 「何所のメーカーなの?」 「オーダーメイドたあ気合い入ってるな」 「伝手は何所から?」 わいわい、きゃあきゃあ。わいわい、きゃあきゃあ。女三人寄れば姦しい。美味しいお菓子にご飯、お洒落に蹄鉄。ウマ娘の人生とは切っても切り離せない物です。 「Vertoneだよー。お母さんの友人のバレリーナの伝手でね? ちょっと無理言ってお願いしちゃった♡ お金は結構掛かっちゃったけど、レースの賞金で賄ったの」 嬉々として話すバリちゃん先輩に私達は、ほぉー。と感心するやら驚くやら、色んな感情が詰まった声を漏らすのでした。 「羨ましいですわ…」 「シオン先輩の足にとても馴染むと良いですね」 「アタシ蹄鉄は使い潰しちゃうからカロッツェリアになんか頼めねえわー」 「我が友はスタミナでガリガリ潰しますからね」
3 22/12/16(金)22:27:13 No.1004762917
「所でお二方、来月のダンスパーティーのドレスはちゃんと仕立てが出来てて?」 微笑みながら隣のシーナ嬢を見つめながらお嬢が問い掛けてきます。 「アタシは実家からテキトーに見繕うつもり。寧ろアクセサリに悩む所かな」 椅子の背もたれをギシッと鳴らしながら我が友はアイスティーを飲むのでした。 「我が友はどんなアクセサリも似合うと思いますよ」 「ばーか。アタシが着飾るとアクセサリの方が埋もれちまうんだよ」 我が友に笑いかけられながら頭を撫でられ、悪い気はしません。 「私はこの雑誌に載ってるネックレスとか良いなって思ったり」 そう言うとシーナ嬢はテーブルの上に小振りな雑誌を広げて見せてくれました。クリスタルガラスを散りばめた、キラキラとしたネックレスでした。 「綺麗だけど高そうねえ」 「お母さんが『そう言うイベントの時はキチンと着飾るべき物よ』って言って。私のレースの賞金とお母さんのお財布からちょっと」 緩く尻尾を振るバリちゃん先輩にシーナ嬢が答えます。
4 22/12/16(金)22:27:37 No.1004763123
「命短し。走れや恋せよウマ娘ってな」 シップの言葉に私達は其れ其れしみじみ頷きました。 その後も他愛も無い雑談は続き、ドーナツと飲み物をお腹に収めて、ゆっくりと地平線に太陽が沈む頃にはトレセン学園の寮へと続く道を歩いていました。 明日もきっと晴れるでしょう。 風に揺れるターフの上を私達は走るでしょう そして夕日が空を染める頃、きっとまた他愛も無いお喋りをするのでしょう 繰り返される日常。いずれは訪れる学生生活の終わり。 でもきっと。過ぎ去ったその日々が掛け替えも無い宝物になるのだから。そう。 「また明日」 そう声を発する。
5 22/12/16(金)22:28:46 No.1004763812
尾終い 五人組がただわちゃくちゃするだけのお話です 薬にも毒にもなりません 山も意味も落ちもありません
6 22/12/16(金)22:39:44 No.1004768998
久し振りに尾終いの「」ャスタの五人組を見ました… この雰囲気を楽しみにしていましたよ
7 22/12/16(金)22:41:15 No.1004769654
>久し振りに尾終いの「」ャスタの五人組を見ました… >この雰囲気を楽しみにしていましたよ ありがとうございます そう言って頂けてとても励みになります
8 22/12/16(金)23:01:51 No.1004778856
久しぶりのジャスタ怪文書ありがたい
9 22/12/16(金)23:02:32 No.1004779095
>久しぶりのジャスタ怪文書ありがたい どう致しまして
10 22/12/16(金)23:22:10 No.1004786574
>五人組がただわちゃくちゃするだけのお話です >薬にも毒にもなりません >山も意味も落ちもありません それが良いんだ