虹裏img歴史資料館

1 22/12/06(火)00:54:49 No.1000962804

まだまだ幼い娘は父親が居ない事に酷く寂しさを感じていた。同年代の友達は幼稚園もお休みの今の時期、夏休みには家族で遊びに行く家庭も多く、父親が居ない事をよく訊かれるのだそう。 無邪気にも「何でお父さん居ないの？」と訊いてくる友達に娘は説明が上手く出来ず、結果として『お父さんが居ない何か可哀想な子』のレッテルが貼られるのだ。それでイジメが発生している訳でもないが、娘はかなり気にしてしまっている様で、遂にこうして寂しさが爆発してしまったようだ。 「でもパパのおはなしきけば、わたしもゲンキになれるかなっておもったの。ママ、パパのこといつもすごいっていってるから……わたしのパパがすごい人だってみんなに言ってやるんだ」 「──アンタはいつの間にか……たくましくなってたのね。アイツにも見せてやりたいわ」

2 22/12/06(火)00:55:10 No.1000962927

子供はいつの間にか成長して、親を驚かせるとは聞いていたトーセンジョーダンだったが、実際に目の当たりにすると母親になった故か、涙が出そうになる。しかしそれを堪え、夕飯の支度を一度止めるとアルバムを持ってきて夫の事を聞かせてあげることにした。 ──それはとっても優秀……つまりは頭が良くて頼れるあるトレーナーの話。 何もかも諦めかけていたバカなウマ娘を気にかけてくれた素敵なトレーナーがウマ娘を導き、そして夢を叶えさせてくれたフィクションみたいなホントのお話。 ◆ 「……という訳で、あたしはパパと結婚してアンタが産まれたんだよ」 トーセンジョーダン自身も寂しかった故か、話し始めたらかれこれ2時間。いつもならもうとっくに夕飯の時間だった。 「ママがパパとけっこんしてくれて、わたしうれしい！」 「あたしも幸せだよ。アンタもそんな良い人と会えると良いね」 「うん！」

3 22/12/06(火)00:55:28 No.1000963019

グ～……。 すっかり元気になった娘のお腹の虫が鳴る。そこで漸く今の時間に気付いたトーセンジョーダン。ヤバいを連呼して急いで夕飯の支度に戻ると、元気になった娘も気合い充分手伝ってくれる。 またも我が子の成長を感じて涙が出てしまうのは、きっと刻んだ玉ねぎのせいもあるのだろう。──と。 「ただいまー」 「あっ！ パパだあ！！」 ジャガイモを洗っていた娘が、その声に直ぐ様それをほっぽって、濡れた手もそのままで玄関へ駆けて行く。水も止めないで、ジャガイモもそのまま。床は娘の足跡のように濡れた跡が続いている。 「あぁ～……ビチャビチャにしちゃって」 「まぁまぁ」 そんな彼女を宥めるのは夫である元トレーナーだ。 今日は8月30日。トレセン学園の夏合宿が終わって、2か月ぶりに帰ってくる日だった。

4 22/12/06(火)00:56:05 No.1000963218

「お帰り」 「ただいまジョーダン。すまないね」 「ううん。そんなん気にしないでよ」 そう平静に返したトーセンジョーダンだが、尻尾は大きく揺れている辺り、やっぱり彼女もウマ娘で、寂しい1人の女だった。隠しきれていないと彼女自身分かっているし、トレーナーも彼女が恥ずかしがっている事はすぐに分かったので特に指摘もしない。 が、そんな大人のやり取りに関係無いのが1人居た事を忘れていた。 「あー！ ママよろこんでる！ うれしいってしっぽが言ってるよ」 「ははは」 「こ、こらっ。笑うなし！」 「ごめんこめん、お土産買ってきたから許してくれないかな」 「わーいおみやげ。チョコある？」 「あるよー。好きなのを選んで良いよ」 「やったー！」

5 22/12/06(火)00:56:38 No.1000963426

テーブルに置かれたお土産の紙袋を漁る娘にどちらも笑みが溢れる。 「すぐ甘やかすんだから……で、どうなのチームの状況は」 「ボチボチかな。皆よくやってるよ」 トーセンジョーダンのトレーナーは確かに彼女の元トレーナーだが、今はトレセン学園でチームトレーナーを勤めていた。 未だに破られぬ天皇賞秋のレコードを叩き出したウマ娘のトレーナーとして評価は高く、また彼女以降にも担当してきたウマ娘が常勝とは当然いかないものの、必ず勝負服に袖を通すと言われる程であった。 「……なぁ、ジョーダン。やっぱりトレーナーを辞めようか？ こうも毎年合宿やレースで家を空けてしまうと君が大変だろう」 「なに？ アンタらしくない。最初に言ったでしょ？ あたしはアンタにトレーナーを続けてほしいって。あたしみたいにどうしようもなくなったウマ娘を、助けてあげてほしいってさ」 「確かにそうだけど……」

6 22/12/06(火)00:57:14 No.1000963689

「それに、あの子とも約束したでしょ？ 大きくなってトレセン学園に行ったら担当してあげるって」 「……良いのかい？ 大変なのはまだまだこれからだぞ？」 「もうとっくに覚悟キメてるって。アンタもお父さんなら、娘の願いも叶えてあげてよ」 言われ、娘を見ると既にチョコ系のお土産を食い漁っている。そんな無邪気な娘に言われ、約束したのだ。大きくなったら担当して、ママと同じ天皇賞に出るんだと。 「──そうだったな。すまない」 「あたしこそ、ワガママいってあたしを担当してた時よりも大変な思いさせちゃってるし」 「いや、案外ジョーダンの方が大変だったかもしれない」 「あ、そう言うこと言うんだー？ 今夜はちょっとお話じゃない？」

7 22/12/06(火)00:57:27 No.1000963787

なんてやり取りをしていると、今度はトレーナーのお腹の虫が鳴った。合宿を終えて1度学園に戻ったが、真っ直ぐ帰ってきたので当然夕飯はまだであった。 「ヤバっ。すぐ作るから待ってて」 「俺も手伝うよ」 「わたしもー」 家族団欒。いつもと違って3人で作った夕飯のシチューは、普段よりも優しい味がするようだった。

8 22/12/06(火)00:58:56 No.1000964419

こういうのでいいんだよおじさん「こういうのでいいんだよ」

9 22/12/06(火)00:58:59 No.1000964438

トーセンジョーダンがいつかの別れを示唆しているのも良いが、それはそれとしてトレーナーとくっつく妄想をしないと思うていたか

10 22/12/06(火)00:59:14 No.1000964534

よかった…シングルマザージョーダンはいなかったんだね…

11 22/12/06(火)00:59:44 No.1000964720

死んだと思ってごめんなさい

12 22/12/06(火)01:02:42 No.1000965864

ジョーダンは幸せになってほしいしそうするのはあのトレーナーであって欲しいんだ

13 22/12/06(火)01:05:11 No.1000966939

ネイルサロン立ち上げながらお母さんやってるジョーダンは強い

14 22/12/06(火)01:05:43 No.1000967090

>ジョーダンは幸せになってほしいしそうするのはあのトレーナーであって欲しいんだ そうだー！俺もその意見に賛成だーっ！ ストレートに卒業後ゴールインでもいいし卒業後数年してからの再開からのゴールインでもいいぞ！！

15 22/12/06(火)01:05:56 No.1000967175

>死んだと思ってごめんなさい 実際そう思わせようとしたつもりはあった

16 22/12/06(火)01:07:12 No.1000967645

ジョーダン怪文書で見たいものを見せてもらえた…ありがとう…

17 22/12/06(火)01:09:17 No.1000968394

くっついて欲しいけどビッグになるって夢叶えてからくっついて欲しい

18 22/12/06(火)01:11:43 No.1000969318

母娘で合宿に押しかけに行け

19 22/12/06(火)01:15:12 No.1000971304

シングルマザージョーダンはなんかしっくりくるな…

20 22/12/06(火)01:17:48 No.1000972244

例のシンドロームかと思った

21 22/12/06(火)01:21:54 No.1000974102

>くっついて欲しいけどビッグになるって夢とだえてからくっついて欲しい

22 22/12/06(火)01:29:01 No.1000976156

良かった…死別してシンママになってしまったジョーダンは居なかった できれば2人目もこさえろ

23 22/12/06(火)01:33:28 No.1000977566

良妻ギャルジョーダン良いよね… それはそれとして今夜のお話はまだですか

24 22/12/06(火)01:36:11 No.1000978627

>>くっついて欲しいけどビッグになるって夢とだえてからくっついて欲しい くたばってくれ

25 22/12/06(火)02:08:03 No.1000988577

寝る前にいいものを見た