虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    22/12/04(日)23:58:42 No.1000604223

    あの人に想いを伝える。 そう決意した。 でも、どう言えばいいんだろう。 どんな時に言えばいいんだろう。 どうすれば想いが伝わるんだろう。

    1 22/12/04(日)23:59:08 No.1000604382

    「ブルーに告白しようと思うんだ」 早朝。 レッドはテレビ通話でルビーに語っていた。 「そうですか。で、なんでボクにその話を?」 あまり関心の無さそうな口調でルビーが言う。 わからなくもない。 急に先輩が連絡してきたと思えば恋愛相談だ。 それも早朝に。 昼間からは忙しいと思ってこの時間にしたが、 かえってルビーに悪いことをした、 「悪いんだけど、こういうのルビーぐらいしか経験してる人知らなくてさ。 他に彼女いる友達もいないし」 「そうですねー。みんな自分のことばかりで目を固めるとかそんなのを気にしてる人たちじゃなさそうですしね」 「たはは…」

    2 22/12/04(日)23:59:25 No.1000604494

    辛辣なルビーの批評に苦笑する。 「で、告白のことですけど」 「そうそう。 ルビーの時はどうだったんだ?」 「ボクの方はサファイアから言ってきたんですけど。 その時もボクがちゃんとした返事した時も、 これから大事な戦いがあるから悔いのないようにって感じで」 「そうなのか…」 追い込まれると人は勇気を出す。 そうでない人もいるが、彼らはそうだったのだろう。 「でも今から世界の危機とかも起こったりしないですし、 普通にデートとかの最中に言えばいいんじゃないでしょうか」 「やっぱりそれかな…」

    3 22/12/04(日)23:59:49 No.1000604640

    世界の危機を願うなんて不謹慎だし自分だってそんなことになってほしくない。 ならばルビーの言う通りデート中にするのが常道だろう。 「ルビーは普段、どんなデートしてるんだ?」 「それはファッションショー見に行ったり、 オシャレなcafeでお茶したりですね。 あとは夜景が綺麗な展望台でendでしょうか」 「やっぱりそういうのが女の子ウケいいのかな…」 ファッションもオシャレな喫茶店も自分には縁がない。 昔はデートしたいという欲望はあったが、所詮は子供の発想だ。 あの頃の自分と今の自分では、置かれている立場も積極性も違う。 少しはデートのことを再勉強しなくてはと思う。

    4 22/12/05(月)00:00:07 No.1000604751

    と、画面の下から何かが現れた。 エメラルドだ。 「レッド先輩。ルビーのデートのことはあんまり参考にしない方がいいよ。 この前のデートでもサファイア怒らせたそうだし」 「エメラルド、余計なこと言わなくていいよ」 ルビーの発言にエメラルドは口を尖らせる。 「だってルビー、自分の行きたいところばっかり行ってたんだろ。 サファイアの行きたいところ全部却下して」 「あれはサファイアが悪いよ。 せっかくのデートなのに野外に行きたいって言い出してさ」 「だからといって言い分何も聞かないのはやりすぎだよ。 ちゃんと落とし所決めておかないと」 「ボクはそうしたつもりなのに」

    5 22/12/05(月)00:00:38 No.1000604946

    ルビーとエメラルドの言い合いを聞いて、レッドは思う。 「オレはちゃんと、ブルーの行きたいところに行ってあげることにするよ…」 「それがいいよ。ルビーは反面教師みたいなもんだと思ってさ」 「どういうことだよそれ」 尚も言い合いを続けるルビー達。 「じゃ、オレはこれで。 相談乗ってくれてありがとうな」 聞いていないのかまだ話を続けている画面の向こうの2人に構わずレッドは通話を切った。

    6 22/12/05(月)00:01:26 No.1000605227

    数日後。 「待った?」 「いや、今来たところだよ」 レッドは待ち合わせ場所に来たブルーを迎える。 「でもどうしたの?珍しくレッドの方から遊びに行かないかって誘ってきて」 「いやぁ、時間できたしたまにはって思って」 「ふぅん?まぁいいけど」 ブルーが手を繋いでくる。 「え、ブルー!?」 今までそんなことはなかった。 2人で遊びに行くことはあっても手を繋いでではなかった。 なのに今日はそうしてきた。 予想外の行動に、レッドは驚く。

    7 22/12/05(月)00:02:25 No.1000605562

    「レッドの方からお誘いしてくれるなんて初めてだから、お礼にねー。 それともアタシと手を繋ぐのイヤ?」 「い、イヤじゃない!」 「ありがと♪」 ブルーに笑いかけられる。 それだけでどきりとしてしまう。 もう自分は彼女から逃れられない。 そうレッドは自覚した。

    8 22/12/05(月)00:03:15 No.1000605853

    最初に行ったのは小物店だった。 「レッド、これどう?」 イヤリングを耳に当てて、ブルーが聞いてくる。 「いいんじゃないか?ブルーに似合ってると思うよ」 「ありがと。じゃ、これにしようかなー」 素直な感想を言うと、ブルーはそれを買い物カゴに入れる。 「ブルーがイヤリングしてるところ見ると、昔を思い出すなぁ」 「昔?」 「ああ。バッジ耳につけてた時の」 「オホホ、そんなこともあったわね」

    9 22/12/05(月)00:05:21 No.1000606551

    そんな話をしながら、アクセサリーを選んでいく。 「そろそろお会計しないとね」 「あ、オレが払うよ」 「いいの?」 ブルーが少し戸惑う。 「ああ。オレが誘ったんだしな」 「ありがと。じゃ、そうさせてもらうわ」 買い物カゴを受け取り、レジに進む。 値段は予想より高くて、少しだけ後悔した。

    10 22/12/05(月)00:11:49 No.1000608734

    「あー、買った買った。レッドのお金だけど」 「喜んでくれたなら何よりだよ」 次に寄った喫茶店で一息つく。 注文したコーヒーを啜る。 メニューを見たら自分もわからない名前のものがたくさん書いてあった。 なので勘で注文してみたのだが。 「あ、これめちゃくちゃ甘いな」 どうやらカフェオレに近いものを頼んでしまったらしい。 予想外の味に、心が追いつかない。

    11 22/12/05(月)00:17:36 No.1000610744

    「そんなに甘いの?」 「うん。苦いの想像してたから余計にそう思うのかもしれないけど」 「ふぅん…」 と、ブルーがレッドのカップを手にとった。 そして、ストローに口をつける。 「あ…」 呆気に取られるレッドに構わず、ブルーがコーヒーを飲む。 「ほんと、すごい甘いわね。 身構えてたけど、やっぱり甘いわ」 カップを差し出されたので、それを受け取る。 「う、うん」 葛藤しつつ、ストローに口を近づける。

    12 22/12/05(月)00:21:28 No.1000612126

    「アタシと間接キスになっちゃうけど、ごめんね?」 「飲もうとしてる時にそういうこと言うなよ!」 抗議するが、オホホと軽く笑って流される。 「わかっててやったのかよ…」 「ごめんね?レッドをからかうと面白くて」 「いいんだけどさ…」 正直、少し役得ではある。 好きな子との間接キスが嬉しくないわけがない。 それに、彼女がそうなることをわかっていてやってきた。 それは自分に対してある程度は好感度は高いということだろう。 そう思うと嬉しくもなる。 続きを飲んだが、さっきよりもさらに甘く感じた。

    13 22/12/05(月)00:28:59 No.1000614676

    店を出ると、また手を繋がれる。 「じゃ、次はどこに行くの?」 「そうだなぁ、ちょっとゲームセンターにでも行くか? そこで時間潰したら綺麗な景色の見えるところに行くとか」 「いいわね。でもどうしたの? レッドがそんなにデートに手馴れてる感じがするなんて」 ブルーが小首を傾げる。 その仕草までかわいいと思えてしまう。 「い、いや、これでもちょっとは勉強してさ。 女の子を誘うなら喜ぶようなところに連れて行けって」 まさか後輩のデートの失敗談を参考にしたというのは彼の名誉のためにも言うわけにはいかない。

    14 22/12/05(月)00:32:13 No.1000615824

    「まぁいいけど。 でもそんなに頑張ってくれたならアタシはそれに甘えちゃおうかしら」 「ああ。そうしてくれた方がむしろありがたいよ。 そのためにやってきたんだから」 ブルーが笑う。 楽しそうに。 嬉しそうに。 それだけで自分は努力してよかったと思う。 そして彼らにも感謝したいとも思っていた。

    15 22/12/05(月)00:38:15 No.1000618036

    それからしばらくして。 「…しまった」 乗ろうとしていた観覧車。 そこにはすでに長蛇の列があった。 待ち時間を見る。 2時間。 それだけならまだいいが、受付締め切り時間はあと1時間もない。 今から並んだところで到底間に合わないだろう。 それでも並ぶ人がいるのは痺れを切らせて列から離れる人が出るのを待っているからだろうか。 「もうちょっと早く出ればよかったわね…」 「そうだな…」 肝心なところで失敗して肩を落とす。

    16 22/12/05(月)00:44:43 No.1000620404

    ここで観覧車で2人きりになり、そこで告白するつもりだった。 だがその前提が崩され、レッドは心が折れそうになる。 「ねえ、レッド」 「…ブルー?」 彼女と目を合わせる。 こちらを慈しむような視線が向けられていた。 「今度は、アタシに付き合わない?」

    17 22/12/05(月)00:51:19 No.1000622761

    「どう、レッド? こういう景色もいいでしょう?」 「うん…」 ブルーのプリンに乗って。 2人は上空にいた。 日が沈みかけて、空が赤い。 綺麗な夕焼けだ。 こんな景色を見るのはいつぶりだろうか。 「ごめんな、ブルー。 フォローしてくれて」 「いいわよ。レッドはアタシのためにやってくれたんだもの。 これくらいお返しさせて」

    18 22/12/05(月)00:53:55 No.1000623567

    そう言って彼女が抱きしめてくる。 なにもからかうためではない。 流石に大人2人でプリンの頭の上は狭い。 なのでこうして密着しなければいけなかった。 「レッド、アタシ嬉しかった。 アタシのために頑張ってくれる人がいて」 「うん…」 彼女の声。 彼女の温もり。 彼女の吐息。 全てが近い。 それについレッドの意識が向いてしまう。 これから告白するつもりなのに。

    19 22/12/05(月)00:58:14 No.1000624942

    「ちょっと空回りしたけどな」 「いいよ、それでも。 アタシのために頑張ってくれたことに変わりはないから。 そんなレッドが好きなんだし」 「そうか…」 努力を認めてくれた。 失敗はしても、それすらも受け入れられている。 そのことに、レッドは安堵した。 やってきたことが無駄ではなかった。 「…ん?」 ふと、言われたことを思い返す。 ブルーは言った。 頑張ってくれたことが嬉しいと。 そんなレッドが好きだと。

    20 22/12/05(月)01:01:22 No.1000625919

    「…え、ええ!?」 「あ、やっと気づいた」 間近でブルーが笑う。 渾身の悪戯が成功した。 そんなやり遂げた顔をしていた。 「え、ブルー…」 「レッドがアタシをデートに誘ってきたってことは、アタシに告白でもするのかなーって。 自意識過剰かと思ったけど、ずっとレッドがソワソワしてたから合ってると確信したわ」 「そんなにわかりやすかったか…」 がっくりと肩を落とす。

    21 22/12/05(月)01:04:47 No.1000626940

    「レッドに告白してもらおうと思ってたけど、 アタシの方が我慢できなくなっちゃった」 「我慢?」 「そう。アタシのために頑張ってるレッドを見てると、心の中に好きって気持ちがいっぱいになって。 それでつい言っちゃった。 ごめんね」 「…いや、オレも嬉しかったよ」 自分の方から告白したい。 そうは思っていたが、いざ逆のことをされるとそれはそれで悪くない。 好きな子が向こうから言ってきてくれた。 自分のためにしてくれた。 それはすごく嬉しいことだ。

    22 22/12/05(月)01:08:06 No.1000627905

    「それで、告白の答えは?」 「え、わかってるだろ!?」 「それでも、言ってほしいの。 好きな人の口から」 確かに、と気を引き締める。 向こうから勇気を出してきたのだ。 こちらもしなければいけない。 「オレも、ブルーが好きだ。 どうか、付き合ってほしい」 「よくできました」 不意に、唇を奪われた。 またこちらに笑いかけてくるブルー。 その顔が赤く見えたのは夕焼けに照らされたからか。 それとも羞恥からかは今のレッドにはわからなかった。

    23 22/12/05(月)01:08:21 No.1000627985

    以上です 閲覧ありがとうございました

    24 22/12/05(月)01:09:10 No.1000628190

    閲覧してたかな…してたかも…

    25 22/12/05(月)01:10:46 No.1000628614

    今日はリアル事情でいつもより遅くなってしまいました スレ落ちるまであと少しだけどレブル書くのが一応は間に合ってよかったです

    26 22/12/05(月)01:14:07 No.1000629564

    >「そうですねー。みんな自分のことばかりで目を固めるとかそんなのを気にしてる人たちじゃなさそうですしね」 身を固めるの誤字でしょうか? >「ああ。バッジ耳につけてた時の」 >「オホホ、そんなこともあったわね」 やんちゃしてた頃を遠慮なく刺し合える付き合いの長さいいですよね…

    27 22/12/05(月)01:19:17 No.1000630968

    >>「そうですねー。みんな自分のことばかりで目を固めるとかそんなのを気にしてる人たちじゃなさそうですしね」 >身を固めるの誤字でしょうか? いかん誤字ってたすみません…