22/12/03(土)23:39:21 泥の妻の日 のスレッド詳細
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画像ファイル名:1670078361249.jpg 22/12/03(土)23:39:21 No.1000172086
泥の妻の日
1 22/12/03(土)23:45:44 No.1000174459
昔、この廊下を歩いていたらしい。まだ数年前のはずなのに、まるで実感を持てない。この廊下に、教室に、人の世界に。 呪物拘束を幾重に巻いた何かを背に、これから書く届出の束を手に立ち尽くす。 知っている顔は全員この教室を出て、新しい生徒達も師も出払っているらしい。また事件でもあったのだろう。 戻ってきたことは、学友には伝えていなかった。挨拶もなしに出て行ったのだから帰る時ぐらいは。とも思ったが、どうも言葉が見つからなかった。 実は父親が世界各地で自分と同じ実験を繰り返していたとか、それで生まれた新しい兄弟姉妹を殺して食べて、父親を殺したとか。 全部終わったら、時計塔から封印指定執行者としてのスカウトを受けて、了承したとか。話しても反応に困るだろう。 それに、此処でも「灰狼公事件」のことは既に知られる事件となっていた。惨憺たる被害と、首謀者であったバーナード・アトキンソンの名と共に。 だから正直、どういう顔をして皆に会いに行けばいいのかわからなかった。なんだか随分、遠いとこまで行ってしまった気がして。
2 22/12/03(土)23:45:56 No.1000174528
手元の書類は内容はともかく、明らかに一人で申請する量ではない。手が空いている奴がいるから手伝ってもらえ、との回答だった。 それで待ち合わせ場所に来たものの、少し早歩きで来たものだから手持無沙汰になってしまった。 「ちょっと、ごめんなさい。探している人が」声を掛けられる、向こうも人が来ないらしい。 黒い髪を伸ばしたスーツの女性、でも少し肌の色が濃くて、緑の眼をした。 「イツカちゃん?」「え?嘘、サムナくん?」香水が変わっただけの、知っている人の、少し安心する匂いだった。